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秋田地方裁判所 昭和57年(わ)153号 判決

被告人 伊藤久男

昭一五・一一・五生 無職

主文

被告人を懲役三年に処する。

秋田市牛島東七丁目一三番二〇号所在の木造トタン葺二階建車庫兼物置一棟(建築面積三四・七八平方メートル)及び板塀(右車庫入口脇のもの)並びに押収してある杉伐根製衝立一個(証拠略)、ブビンガ製テーブル一脚(証拠略)、台湾楠様テーブル一脚(証拠略)、けやき製長火鉢一個(証拠略)、杉伐根製テーブル一脚(証拠略)、天然杉板目天井板三六枚(証拠略)及び同天井板一二枚(証拠略)を没収する。

被告人から金四五七万八、〇〇〇円を追徴する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和三四年高校卒業後、上小阿仁営林署に作業員として雇われ、同三七年四月一日付で農林技官、同五三年七月五日付で農林水産技官となり、同五四年四月一日からは秋田県河辺郡一円を管轄区域とする和田営林署に勤務し、同郡河辺町岩見字岩見山国有林六、四〇〇ヘクタールの地域を担当する同営林署鵜養担当区主任として、同営林署長が行う伐根、被害木(生倒木、虫害木、枯立木など)及びその伐採、搬出に伴つて生ずる支障木の売払いに関して、同営林署長の命により行うそれらの収穫調査並びにそれらの伐採、搬出状況の監督などの職務に従事し、又、その担当する区域内の国有林野を巡視し、盗伐、誤伐等の防止などの職務に従事するとともに、司法警察員の指名を受け、国有林野等及びその林野の産物等に関する犯罪を捜査する職務に従事していたものであるが

第一  木材の販売や立木の伐採搬出作業の請負業などを営む川邉朝敏から、同人が前記鵜養担当区管内で請負つていた被害木の伐採搬出などにつき、好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、同五六年一一月下旬ころ、秋田市牛島東七丁目一三番二〇号の被告人方において、建築された木造トタン葺二階建車庫兼物置一棟(建築面積三四・七八平方メートル、建築費二二九万六、三九〇円)及び板塀(右車庫入口脇のもの)、並びに木製飾り塀(右自宅玄関脇のもの。工事費三万七、二〇〇円)の引渡しを受けて供与を受けるとともに右自宅屋根補修工事(工事費四四万八〇〇円)の利益の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第二  国有林での仕事歴も長い前記川邉朝敏が、営林署から立木の払下げを受けた業者の伐採搬出作業の請負など利益の薄い仕事にしかつけないでいるのを見て、同人に儲けさせてやりたいと考え、同年八月ころ、同人に対し暗に立木を不正に伐採させてやると持ちかけ、次いで同年一一月中旬から下旬にかけて、同人の伐採作業現場を訪れ、同人を前記岩見山国有林の八二林班に小班付近に案内し、伐採する天然秋田杉立木を具体的に指示するとともに、数日後、収穫調査対象木に打刻するに際し使用する山極印を貸し渡し、ここに同人と共謀のうえ、そのころ右岩見山国有林八二班に小班内において、同人が雇いの作業員をして和田営林署長芹田泰三が管理する天然秋田杉立木二本(伐採後推定取引価額約二七〇万円相当)を伐採させて窃取し、さらにそのころ、同人の伐採作業現場を訪れ、前同様の目的で同人を前記岩見山国有林の七七林班と小班付近に案内し、伐採する天然秋田杉立木のおおよその範囲を指示するとともに、数日後、同人とともに右現場に赴いて、右山極印を伐採する天然秋田杉立木に打刻し、ここに同人と共謀のうえ、そのころ右岩見山国有林七七林班と小班内において、同人が雇いの作業員をして右芹田泰三が管理する天然秋田杉立木一六本(伐採後推定取引価額約一、一八〇万円相当)を伐採させて窃取し、自己の職務に関し不正の行為をなし、右各不正行為をなしたことの報酬として供与されるものであることの情を知りながら、同年一二月初旬ころ、前記岩見山国有林の八七林班と小班内小又林道待避所に駐車した普通乗用自動車内において、右川邉から現金三〇〇万円の供与を受け、もつてその職務上不正行為をなしたことに関し、賄賂を収受した

第三  同五五年七月中旬ころ、前記被告人方において、営林署等から買受けた立木の販売などの業を営む相馬商事株式会社代表取締役相馬三郎から、そのころ、同人が和田営林署長に対し買受け申込みをした前記鵜養担当区管内の被害木の伐採搬出につき、好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金二〇万円の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第四  同五六年一一月四日ころ、秋田県河辺郡河辺町岩見字鵜養一五〇番地の一和田営林署鵜養担当区事務所において、前記相馬三郎から、同人の息子相馬隆を介し、右相馬三郎が同年一〇月上旬ころ和田営林署長から買受けた前記鵜養担当区管内の被害木の伐採搬出につき、好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金三〇万円の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第五  同五七年一月四日ころ、前記被告人方において、前記相馬三郎から、被告人の妻伊藤伸子を介し、前記被害木の伐採搬出につき、好意的な取り計らいを受けたことの謝礼並びに将来も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金一〇万円の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第六  同五五年一一月中旬ころ、前記被告人方において、佐藤林業の名称で営林署等から買受けた立木の販売などの業を営む佐藤成孝から、同人が同年一〇月下旬ころ和田営林署長から買受けた前記鵜養担当区管内の被害木の伐採、搬出につき、好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、杉伐根製衝立一個(販売価格約三万円―証拠略)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第七  同五六年八月上旬ころ、前記被告人方において、前記佐藤成孝から、同人が同年七月下旬ころ和田営林署長から買受けた前記鵜養担当区管内の被害木の伐採、搬出につき、好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、ブビンガ製テーブル一脚(仕入れ価格九万円―証拠略)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第八  同月上旬ころ、前記鵜養担当区事務所において、前記佐藤成孝から、同人の従業員金沢四郎を介し、前記第七記載と同趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金二〇万円の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第九  同年一〇月三〇日ころ、前記被告人方において、前記佐藤成孝から、前記第七記載の被害木の伐採、搬出につき好意的な取り計らいを受けたことの謝礼並びに将来も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、台湾楠様テーブル一脚(仕入価額二三万円―証拠略)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第一〇  同月下旬ころ、秋田県南秋田郡五城目町高崎字雀館下川原一〇七番地の二佐藤銘木店こと前記佐藤成孝方において、同人から前記第九記載と同趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、けやき製長火鉢一個(仕入価格約五万円―証拠略)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第一一  同五七年三月下旬ころ、前記佐藤成孝方において、同人から、前記被害木の伐採、搬出につき好意的な取り計らいを受けたことの謝礼の趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、杉伐根製テーブル一脚(販売価格約四万円―証拠略)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第一二  同五六年八月上旬ころ、前記和田営林署担当区事務所において、製材及び木材加工販売業等を営む加賀谷木材株式会社(代表取締役加賀谷力司)取締役加賀谷直松から、右会社が同年七月三〇日ころ和田営林署長から買受けた被害木の伐採、搬出につき、好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金一〇万円の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第一三  同五六年一一月中旬ころ、前記岩見山国有林の七七林班る二小班内林道において、木材の伐採及び搬出業等を営む株式会社佐々木木材代表取締役佐々木稔から、伐根、被害木についての右会社の和田営林署長から買い受け及びその伐採、搬出につき、好意的な取り計らいを受けたことの謝礼並びに将来も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金二〇万円の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第一四  同五七年四月一〇日ころ、前記被告人方において、前記佐々木稔から、同人の息子佐々木健及び被告人の父伊藤徳蔵を介し、前記第一三記載と同趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、天然杉板目天井板四八枚(時価合計約五九万円相当―証拠略)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受した

第一五  前記鵜養担当区管内の天然秋田杉を不正に伐採して、これを前記川邉朝敏に売つて利益を得ようと考え、同五六年八月ころ、前記佐藤成孝が和田営林署長から買受けた前記岩見山国有林の八六林班ぬ小班内の被害木の伐採、搬出作業に従事していた前記金沢四郎のもとを訪れ、同人に右意思を打ち明けたうえ、前記山極印を同人に貸し渡して天然秋田杉立木に打刻させ、ここに同人と共謀のうえ、そのころから同年九月初めころまでの間、右岩見山国有林八六林班ぬ小班及びる二小班内において、同人が雇いの作業員をして前記芹田泰三が管理する天然秋田杉立木二七本(伐採後推定取引価額約二、六九四万円)を伐採させて窃取した

第一六  同年一〇月下旬ころに前記相馬商事株式会社が和田営林署長から買受けた前記岩見山国有林の七七林班か小班及びへ小班内の被害木などの一部を右会社従業員高倉好實から横流しを受けていたため、これを穴埋めしようと考え、同年一二月ころ、右被害木の伐採、搬出作業に従事する同人のもとを訪れ、前記山極印を同人に貸し渡して天然秋田杉立木に打刻させ、ここに同人と共謀のうえ、そのころから同月二一日ころまでの間、右岩見山国有林七七林班へ小班内において、同人が雇いの作業員をして前記芹田泰三が管理する天然秋田杉立木七本(伐採後推定取引価額合計約六二四万円)を伐採させて窃取した

ものである。

(証拠の標目)(略)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第三ないし第一四の各所為は刑法一九七条一項前段に、判示第二の所為中各森林窃盗の点及び判示第一五、第一六の各所為は同法六〇条、森林法一九七条に、判示第二の所為中加重収賄の点は刑法一九七条の三第二項、第一項にそれぞれ該当するが、判示第二の森林窃盗と加重収賄とは一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、同法五四条一項前段、一〇条により一罪として重い加重収賄罪の刑で処断することとし、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い加重収賄罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役三年に処し、前記木造トタン葺二階建車庫兼物置一棟及び板塀は判示第一の犯行により、押収してある杉伐根製衝立一個(証拠略)は判示第六の犯行により、同ブビンガ製テーブル一脚(証拠略)は判示第七の犯行により、同台湾楠製テーブル一脚(証拠略)は判示第九の犯行により、同けやき製長火鉢一個(証拠略)は判示第一〇の犯行により、同杉伐根製テーブル一脚(証拠略)は判示第一一の犯行により、同天然杉天井板四八枚(証拠略)は判示第一四の犯行により、それぞれ被告人が収受した賄賂であるから、同法一九七条の五前段によりこれらを被告人から没収し、被告人の収受した判示第一の木製飾り塀と自宅屋根補修工事の利益、判示第二ないし第五、第八、第一二、第一三の各賄賂はいずれも没収することができないので、同法一九七条の五後段によりその価額金合計四五七万八、〇〇〇円を被告人から追徴することとする。

(補足説明)

一  昭和五七年八月二〇日付起訴状記載の公訴事実第二について

右公訴事実の要旨は、被告人が川邉朝敏からその職務に関して工事費合計二七四万五、六〇〇円相当の木造二階建車庫兼物置一棟の新築工事及び自宅屋根補修などの工事の利益の供与を受けたというものであり、右の工事の利益という文言の意味についての裁判所の釈明に対して検察官は、右川邉が本来被告人が負担すべき右工事費を負担し、被告人が同相当額の利益を得たという意味であると答えていたが、前掲各証拠によれば、右工事の請負契約の当事者は被告人ではなく右川邉自身であり、被告人が負担すべき工事代金を肩替りしたものではないから、判示第一のとおり事実が認定されうるところである。そして右公訴事実の二七四万五、六〇〇円の内訳は、右川邉が右建築工事のために請負人に提供した木材の価額と請負人の請求にかかる車庫兼物置の新築工事費、木製飾り塀工事費及び屋根補修工事費の合計金額であつて、右公訴事実にいう工事の利益の供与とはつまるところ判示第一の事実と相違なく、かかる事実を認定しても特段被告人の防禦に不利益を生ずるおそれはないから、本件において訴因変更の手続を採ることなく判示第一の事実を認定した次第である。

なお、検察官は没収不能を理由に右二七四万五、六〇〇円の全額追徴を主張するが、認定事実は判示第一の事実のとおりであり、右車庫兼物置は土地とは独立した不動産で被告人の所有に属するものであるから、法律的にも物理的にも没収は可能であり、また、右車庫入口脇の板塀はその構造上容易に取り壊すことのできるものでいまだ土地の定着物とはいえず、独立の所有権の客体となり且つ被告人の所有に属するから、これまた没収は可能であり、これら賄賂を没収することにより終局的には取り壊しという社会経済的損失をきたしたとしても、没収が可能である以上、その経済的配慮から追徴を科することはできない。したがつて、主文掲記のとおり、右車庫兼物置及び右板塀を没収し、木製飾り塀は売却されて被告人の所有に属さないから、また、右屋根補修工事はその性質上から、いずれも没収は不可能であるから各工事費を追徴すべき金額の中に含めた次第である。

二  昭和五七年九月四日付起訴状記載の公訴事実(以下、九月四日付公訴事実という)第一の三と同年七月二三日付起訴状記載の公訴事実(以下、七月二三日付公訴事実という)との関係について

右九月四日付公訴事実第一の三の森林窃盗と右七月二三日付公訴事実の加重収賄罪とは、形式的には別個の起訴状で別罪として起訴されているものであるが、前掲各証拠によれば、右加重収賄罪の現金三〇〇万円の収受の趣旨は右森林窃盗に対する謝礼の趣旨をも含んでいるものと認められる。そして森林窃盗罪と加重収賄罪とは観念的競合の関係にあり訴訟法上一罪として取り扱うべきところ、検察官は当初より右認定事実と同様の事実を主張立証し、その後の裁判所の釈明に対して、右森林窃盗の起訴は右加重収賄罪の訴因を変更して、右加重収賄罪の事実に右森林窃盗の事実を追加する趣旨であると答え、弁護人はこれに対して異議がないというものであり、かかる事情に鑑みれば、右森林窃盗の起訴を訴因の変更申立と善解して訴訟法上一罪と認定することは、被告人に不利益を与えるものではないし、訴訟経済上の見地からも許されると思料する。

したがつて、本件において改めて訴因変更の手続を採ることなく判示第二の事実を認定した次第である。

三  訴因変更後の九月四日付公訴事実第一の一について

右公訴事実の要旨は、被告人は金沢四郎と共謀のうえ、天然秋田杉立木二九本を伐採して窃取したというものであるが、前掲各証拠によれば、被告人が山極印を金沢四郎に貸し渡して天然秋田杉に打刻させ、ここに窃盗の共謀が成立したこと、金沢四郎が雇いの作業員をして伐採させたと認められる天然秋田杉の伐根(山極印のみ打刻されている伐根)が岩見山国有林八六林班ぬ小班及びる二小班内において二七本確認されることなどから判示第一五のとおりの事実は認定できるものの、右公訴にかかる二九本のうち残りの二本については、罪数評価の問題を別としても右岩見山国有林八六林班ぬ小班内において払極印(被害木を買受けた木材業者に引渡す際に使用する極印)のみ打刻された天然秋田杉の伐根が二本確認されるに止まり、右二本の伐採盗伐について被告人が金沢四郎と共謀したとの事実を認めるに足る証拠は存在しないから、前記のとおり二七本の盗伐のみを認定した次第である。

(量刑の事情)

まず、本件犯行の背景を考えるに、独立採算制を採る林野事業の最前線に立つ営林署においては、木材業者との強い結びつきは避け難いところ、本件犯行の舞台となつた当地は国家的にも貴重な天然秋田杉が存在することから、これをめぐつてより多くの利益を獲得せんとする木材業者の思わくと画策が増大され、大衆の目に触れることの少ない営林署の職場環境の中で公務員としての健全な常識が次第に希薄化して永年にわたる営林署職員と木材業者との根深い癒着が築きあげられていたことを指摘することができる。

本件犯行は右のような背景に照らすと氷山の一角にすぎないことを窺い知ることができるわけで、国家行政の重要な柱の一つである林野事業に対する国民の信用を失墜せしめた責任は被告人だけにあるとはいえないが、被告人は、被害木の収穫調査及びその伐採、搬出状況の監督など林野事業の適正な遂行のうえで欠くことのできない重要な職務に就きながら、前判示のように多額な賄賂を多数回にわたつて執拗に収受したうえ、特別司法警察員として絶対にあつてはならない盗伐に手を染めたもので、被告人の本件犯行は悪質で著しく正義に反するものといわなければならない。

したがつて、物欲に押し流されて公務の清廉性を度外視した被告人の刑事責任は極めて重く実刑は免れないところである。

ただ、被告人は前科前歴もなく、本件犯行を除けば、営林署職員として二〇年間精勤してきたもので、本件犯行については深省して更生を誓い、盗伐による国に与えた損害については示談が成立し、また、すでに国家公務員法に基づき懲戒免職の制裁を受けているなど有利に斟酌すべき点も存在するので、以上の諸点を総合勘案して、主文掲記の実刑に処して刑事責任を追及することが相当であると認定した次第である。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 高橋一之 武田和博 片瀬敏寿)

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